「自分には身寄りがなく、財産を譲る相続人が誰もいない」「自分が亡くなった後、一生懸命貯めたこのお金や家はどうなってしまうのだろう」。そう感じていませんか。
「何となく国に取られてしまうのかな」とイメージされている方は多いですが、実際にどのような手続きが踏まれるのかをご存知の方は少ないものです。この記事では、相続人が誰もいないおひとりさまの財産が死後にどうなるのか、そしてご自身の希望通りに財産を活かすための備えを行政書士が解説します。
結論:相続人がいない財産は、最終的に「国のもの」になります
被相続人(亡くなった方)に法律上の相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)が誰もいない場合、残された財産は、最終的に「国庫に帰属する(=国のものになる)」と民法で定められています。
しかし、亡くなった瞬間に自動的に国のものになるわけではありません。国庫に入るまでには、家庭裁判所が関与する次のような清算手続きが踏まれます。
- 家庭裁判所が「相続財産の清算人」を選任する身寄りのない方が亡くなると、利害関係人(お金を貸していた人や、大家さんなど)の申し立てにより、家庭裁判所が弁護士などの専門家を「相続財産の清算人」として選任します。この清算人が、亡くなった方の財産を管理・整理していきます。
- 未払い費用の清算清算人は、残された預貯金や、不動産を売却したお金の中から、亡くなった方の未払い費用(病院代、施設の費用、アパートの未払い家賃や借金など)を支払います。
- 「特別縁故者」への財産分与借金などを清算して財産が残った場合、家庭裁判所に「私は亡くなった人と特別な縁故がありました」と申し立てて認められた人(特別縁故者)に、財産の一部または全部が与えられることがあります。特別縁故者とは、戸籍上の親族ではないものの、生計を同じくしていた内縁の妻(夫)や、献身的に療養看護に努めた知人などを指します。
- 残った財産が「国庫」へ入る未払い費用を清算し、特別縁故者への分与を行ってもなお財産が残っている場合、その財産が最終的に「国のもの(国庫帰属)」となります。
「国にいくのは嫌だ」と思ったら:遺言書で「寄付(遺贈)」を
「どうせ国に持っていかれるくらいなら、お世話になった人や、社会のために役立ててほしい」。おひとりさまのご相談をお受けしていると、多くの方がそうおっしゃいます。
ご自身の財産を国庫に入れず、希望する相手に譲るためには、生前に「遺言書」を作成しておくことが唯一にして確実な方法です。遺言書を残しておけば、法定相続人が誰もいなくても、次のようなところに財産を譲る(遺贈する)ことができます。
- 最後まで親身にお世話をしてくれたご友人や知人
- 長年連れ添った内縁のパートナー(事実婚の配偶者)
- 応援しているNPO法人、福祉団体、保護犬・保護猫の団体などへの寄付
- お住まいの自治体(市役所など)への寄付
遺言書を作成する際は、ご自身の死後にその遺言の内容を確実に実行してくれる「遺言執行者」(行政書士などの専門家)を指定しておくことが非常に重要です。
要注意!遺言書だけでは「死後の片付け」はできません
ここで、おひとりさまが陥りやすい非常に重要な「落とし穴」があります。それは、「遺言書を書いただけでは、あなたのお葬式や部屋の片付けをしてくれる人はいない」ということです。
遺言書(および遺言執行者)の役割は、あくまで「預貯金や不動産といった財産の引き継ぎ(名義変更や寄付など)」を行うことです。亡くなった直後のご遺体の引き取り、お葬式や納骨の手配、アパートの解約と遺品整理といった「具体的な事務作業」は、原則として遺言執行者の権限外となります。
よくあるご質問
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- 相続人がいない財産は、清算手続きを経て最終的に国庫に帰属する
- 清算手続きでは、未払い費用の精算後、特別縁故者への分与が行われることがある
- 希望する相手に財産を譲るには、生前の遺言書作成が唯一確実な方法
- 遺言書だけでは葬儀や遺品整理は任せられず、死後事務委任契約とのセットが安心

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