行政書士監修
「自分には大した財産はないから、遺言書なんて必要ない」「独り身なので、自分が死んだ後の財産がどうなるのかよく分からない」。そう思っていませんか?
おひとりさまにとって遺言書は、単なる財産分与の道具ではなく、ご自身の想いを形にし、残された方々の負担を減らすための大切な備えです。この記事では、遺言書の基本と、なぜ「公正証書遺言」が強く推奨されるのかを行政書士が解説します。
目次
そもそも遺言書とは?おひとりさまにこそ必要な理由
遺言書とは、ご自身が亡くなった後、預貯金や不動産といった財産を「誰に・どれだけ・どのように譲るか」を法的に定めておく文書のことです。配偶者や子供がいない「おひとりさま」にとって、遺言書の作成には次のような大きな意味があります。
- 財産が「国庫」に入るのを防ぎ、希望する相手に譲れるご親族(法定相続人)が誰もいない場合、遺言書がなければ財産は最終的に国庫に帰属します。遺言書を作成しておけば、お世話になったご友人やNPO法人・福祉団体などへ財産を譲る(寄付する)ことが可能になります。
- 疎遠な親族間のトラブル(争族)を防ぐご兄弟や甥・姪がいる場合、遺言書がないと彼らが相続人となります。長年疎遠だった親族同士が財産を巡って揉めるケースは少なくありませんが、遺言書があれば誰に何を譲るかを明確にでき、トラブルを未然に防げます。
- 大切なペットの未来を守る(負担付遺贈)「残された愛犬や愛猫の世話をしてくれることを条件に、特定の知人に財産を譲る」といった、負担付遺贈という形での指定も遺言書で行うことができます。
遺言書の主な2つの種類(自筆証書と公正証書)
遺言書にはいくつか種類がありますが、一般的に利用されるのは以下の2つです。
| 種類 | 作成方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 本人が全文・日付・氏名を手書きし押印 | 紙とペンがあれば費用をかけずいつでも作成できる |
| 公正証書遺言 | 公証役場で、証人2名以上の立ち会いのもと公証人が作成 | 形式不備での無効リスクが低く、確実性が高い |
手軽な「自筆証書遺言」を選びたくなるかもしれませんが、私たち専門家は、おひとりさまには圧倒的に「公正証書遺言」での作成をおすすめしています。その理由を次で詳しく解説します。
おひとりさまが「公正証書遺言」を選ぶべき理由
- 理由① 形式の不備で「無効」になるリスクが極めて低い自筆証書遺言は、日付の書き方や訂正の仕方など法律で定められた厳格なルールを守らなければならず、少しでも間違えると遺言全体が無効になるおそれがあります。公正証書遺言は法律のプロである公証人が作成するため、形式の不備で無効になる心配がありません。
- 理由② 紛失や偽造のリスクがなく、確実に発見される自筆証書遺言を自宅で保管していると、亡くなった後に発見されなかったり、都合よく書き換えられたりするリスクがあります。公正証書遺言は原本が公証役場で厳重に保管され、全国の公証役場のシステムで検索できるため、死後に確実に内容を実現させることができます。
- 理由③ 家庭裁判所での「検認」が不要で、すぐに手続きを進められる自筆証書遺言(法務局保管を除く)は、亡くなった後に家庭裁判所での「検認」手続きを経なければ相続手続きに進めず、数ヶ月かかることもあります。公正証書遺言は公文書として高い証明力を持つため検認手続きが一切不要で、すぐに財産の引き継ぎ手続きに取り掛かれます。
- 理由④ 専門家を「遺言執行者」に確実に指定できるおひとりさまの場合、死後に遺言の内容を実行してくれる人が身近にいないため、信頼できる専門家を「遺言執行者」として指定しておくのが一般的です。公正証書遺言なら、専門家と綿密な打ち合わせをした上で、確実で実行しやすい内容の遺言書を作成できます。
遺言書だけでは足りない?「死後事務委任契約」との合わせ技
ここまで遺言書の重要性をお伝えしてきましたが、おひとりさまにとって非常に重要な注意点があります。それは、「遺言書だけでは、お葬式や部屋の片付けは手配できない」ということです。
遺言書はあくまで「財産(お金や不動産)の引き継ぎ」を決めるものです。亡くなった直後の遺体の引き取り、お葬式や納骨の手配、病院の未払い費用の清算、賃貸アパートの解約と遺品整理といった「具体的な事務手続き」を行う権限は、原則として遺言書(遺言執行者)にはありません。
遺言書+死後事務委任契約でこそ、すき間のない備えに
お葬式や死後の後片付けを第三者に任せるためには、遺言書とは別に「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります。おひとりさまの終活は、「遺言書(財産の行き先)」と「死後事務委任契約(死後の片付け)」をセットで準備してこそ、初めて万全の備えとなります。
よくあるご質問
遺言書はどんな人に必要ですか?
財産の多い少ないに関わらず、相続人がいない方、疎遠な親族がいる方、特定の相手や団体に財産を譲りたい方には特に重要です。
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがおすすめですか?
費用をかけずに手軽に作成したい場合は自筆証書遺言も選択肢ですが、確実性を重視するおひとりさまには公正証書遺言をおすすめしています。
遺言書があれば死後の手続きもすべて任せられますか?
いいえ、遺言書は財産の引き継ぎを決めるものです。お葬式や遺品整理などの事務手続きは、別途「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります。
遺言執行者は誰に頼めばいいですか?
身近に頼れるご親族がいない場合は、行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。あらかじめ打ち合わせをした上で遺言書を作成できます。
相続人がいない場合、遺言書がないと財産はどうなりますか?
法定相続人が誰もいない場合、遺言書がなければ財産は最終的に国庫に帰属します。特定の方や団体に財産を残したい場合は、遺言書の作成が必要です。
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まとめ
- 遺言書は、財産の行き先を決め、争族やペットの問題にも備えられる大切な手段
- おひとりさまには、無効リスクが低く確実性の高い「公正証書遺言」が推奨される
- 公正証書遺言は検認が不要で、死後すぐに手続きを進められる
- 遺言書だけでは葬儀や遺品整理は任せられず、死後事務委任契約とのセットが安心
まずは、お気軽にご相談ください
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