「自分が亡くなった後、このスマートフォンや中のデータはどうなるんだろう」「毎月カード引き落としになっているサブスクの契約、自分が死んだら誰が解約してくれるの」。そんな不安はありませんか。
お葬式や部屋の片付けといった目に見えるものだけでなく、現代人はスマートフォン、SNS、ネット銀行、各種サブスクリプションなど、多くの「デジタル契約・データ」を抱えて生きています。この記事では、デジタル遺品を放置するリスクと、死後事務委任契約でどこまで頼めるのかを行政書士が解説します。
デジタル遺品をそのまま放置する「4つのリスク」
ご自身が亡くなった後、デジタル遺品を適切な対策なしに放置してしまうと、次のような深刻なトラブルに発展するおそれがあります。
- 口座が凍結されても「サブスク料金」の課金が続くご逝去後に金融機関がその事実を把握すると、預貯金口座は凍結されて取引が停止されます。しかし、動画配信や音楽配信などのサブスクリプション契約をクレジットカードで決済していた場合、解約手続きを行わない限り、未払いの利用料金が累積してしまいます。
- スマホのロックが解除できず、大切な情報が失われるスマートフォンのロック画面を解除できないまま放置してしまうと、製造元のメーカーに連絡をしても、セキュリティの都合上、本体のロックを解除してもらえることは原則ありません。中に保管されている写真や連絡先、ネット銀行の口座情報などにアクセスできなくなります。
- SNSのアカウントが乗っ取られるLINE、Instagram、YouTube、X(旧Twitter)などのSNSアカウントが削除されずに残り続けると、悪意ある第三者に乗っ取られ、詐欺メッセージの踏み台にされる危険性があります。
- ネット上の資産(暗号資産など)が迷子になるネット銀行の預貯金や電子マネー、暗号資産といった目に見えないデジタル資産は、遺族がその存在に気づくことが難しく、名義変更や換金の手続きがされないまま放置される原因になります。
死後事務委任契約で「どこまでデジタル整理を頼める?」
こうした目に見えない「デジタル遺品」の片付けは、生前に専門家(行政書士など)と死後事務委任契約を結んでおくことで、あなたの代わりに確実に完了させることができます。契約書に盛り込むことで、次のようなデジタル事務の手続きを代理で実行してもらうことが可能です。
- スマートフォン、固定電話、インターネット(プロバイダ)の解約・清算
- クレジットカードの利用停止・解約
- サブスクリプション契約の解除・未払い費用の清算
- パソコンやスマートフォン内の電子データ(写真、動画、連絡先など)の管理や削除
- メールアカウントやSNS(LINEなど)の削除・退会・管理手続き
- 電子マネー、ポイント、暗号資産などのデジタル資産の残高整理、名義変更・売却処分
これらの事務をすべて委任事務一覧に明記しておくことで、家族がいなくても誰にも迷惑をかけずに、デジタルの足跡を整理することができます。
デジタル終活を成功させる生前の準備
デジタル遺品の整理を死後事務委任契約で確実に実行してもらうためには、生前における「IDやパスワード、ログイン情報」の共有が欠かせません。先ほどお伝えした通り、スマホ本体のロックは、亡くなった後に専門家でも強制解除できないことがほとんどだからです。
Appleには、生前に信頼できる人を「故人アカウント管理連絡先」として指定しておくことで、死亡証明書とアクセスキーの提出によりiCloud上の写真や連絡先などのデータにアクセスできる仕組みがあります(本体の画面ロック自体を解除する機能ではありません)。Googleにも、一定期間ログインがない場合に指定した相手へ通知・データ共有・アカウント削除を行う「アカウント無効化管理ツール」があります。こうした公式機能をあらかじめ設定しておくことも、デジタル終活の有効な備えになります。
「生きているうちから、自分のスマホのパスワードやネット銀行のIDを他人に教えるのは怖い」と抵抗を感じる方も多いでしょう。ここで重要になるのが、専門家との「契約」と「守秘義務」です。
専門家に安全に託せる「守秘義務」
行政書士は、行政書士法12条により「業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない」という守秘義務を負っています(行政書士でなくなった後も同様です)。死後事務委任契約を結ぶ際、契約書においてこの守秘義務を明確に定めることで、生前にお預かりしたID・パスワードなどの機密情報は、本人が生きている間、厳重に管理され、第三者に漏えいすることはありません。この情報は、ご本人が亡くなり契約が発効した後にのみ使用されます。
よくあるご質問
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- デジタル遺品を放置すると、課金の継続やアカウント乗っ取りなどのリスクがある
- 死後事務委任契約に明記しておけば、スマホ・SNS・サブスクの解約まで代行できる
- スマホ本体のロックは原則解除できないため、生前のID・パスワード共有が重要
- 専門家には守秘義務があり、生前に預けた情報は安全に管理される

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