「一人暮らしで突然倒れたら、誰が気づいてくれるのだろう」「まだ頭はしっかりしているけれど、将来もし認知症の兆候が出始めたとき、自分で気づけるか不安」。そんな思いはありませんか。
お葬式や遺品整理の備え(死後事務委任契約)や、認知症になった後の備え(任意後見契約)の手前、「今は元気だけれど、これからの日々の健康や安全をどう守るか」という不安を解消する仕組みが「見守り契約」です。この記事では、見守り契約の仕組みと、任意後見契約への「橋渡し」としての役割を行政書士が解説します。
「見守り契約」とは?
見守り契約とは、一人暮らしの高齢者などが、信頼できる専門家(行政書士など)や事業者と結ぶ「定期的な安否確認とコミュニケーション」を目的とした契約です。
- 定期的な電話連絡例:週に1回、体調や生活に変わりがないか電話で話す。
- 定期的な自宅訪問・面談例:月に1回、直接お会いしてじっくり会話をする。
任意後見や後見制度との違いは?
任意後見や法定後見は、本人の判断能力が低下した後に、代わりに役所の手続きや財産の管理を行う(代理権を持つ)強力な制度です。一方、見守り契約は、本人の判断能力がしっかりしている元気なうちに利用するもので、財産を代わりに管理したり、契約を代行したりする法的な権限(代理権)はありません。あくまで安否確認と、生活の困りごとの相談相手になるための契約です。
なぜ一人暮らしに「見守り契約」が必要なのか?3つのメリット
一人暮らしのおひとりさまにとって、見守り契約には日々の生活を安心なものにする3つのメリットがあります。
- 孤独死(孤立死)を防止し、大病の早期発見に繋がる万が一、自宅で倒れて動けなくなってしまった場合でも、定期的な連絡や訪問の約束があるため、異常にいち早く気づき、救急手配などの迅速な対応をとることができます。
- 日常生活の「些細な変化や悩み」を気軽に相談できる「最近、足腰が弱くなってきて買い物や通院が少ししんどい」「市役所からこんな手紙が届いたけれど、どう手続きすればいいの」。こうした日々のちょっとした疑問や不安を、法律の知識を持った信頼できるプロに定期的に相談できることは、大きな心の支えになります。
- 悪質な詐欺被害や不当な契約から身を守れる高齢の一人暮らしを狙った悪質な訪問販売や電話詐欺が増加しています。定期的に専門家と会話をして状況を共有することで、不審な兆候をいち早く察知し、トラブルを未然に防ぐことができます。
任意後見へ安心のバトンを渡す「橋渡し」としての役割
見守り契約の重要な役割が、「任意後見契約」をスタートさせるタイミングを逃さないための橋渡しという点です。
任意後見契約は、生前に「将来、もし認知症になったら、この専門家に施設の手続きやお金の管理をお願いします」と契約しておく制度です。しかし、実際にスタート(発効)させるためには、本人の判断能力が低下した段階で、受任者が家庭裁判所に申し立てを行い「任意後見監督人」を選任してもらう必要があります。
見守り契約を結んでおらず、任意後見契約だけを結んでいた場合、専門家は日常に深く関わっていません。そのため、少しずつ物忘れが激しくなったり判断能力が低下し始めたりしても、周囲に誰も気づく人がおらず、任意後見をスタートすべき適切なタイミングを逃してしまうリスクがあります。
見守り契約を任意後見契約と同時に結んでおけば、元気なうちは毎週・毎月の見守りを通じて専門家が生活や体調を確認し、会話の様子から判断能力の低下をいち早く察知して、適切なタイミングで任意後見へシームレスに移行することができます。
よくあるご質問
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- 見守り契約は、定期的な電話・訪問による安否確認を目的とした契約で、代理権はない
- 孤独死の防止、日常の相談相手、詐欺被害の防止という3つのメリットがある
- 一人暮らしでは判断能力の低下に気づく人がいないため、見守り契約が任意後見への「橋渡し」になる
- 見守り・任意後見・死後事務委任・遺言を組み合わせることで、切れ目のない備えができる

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