自筆証書遺言、法務局に預けられるって知ってますか?保管制度のメリットと注意点

行政書士監修
監修:行政書士 田村仁志(登録番号 第26250869号)/滋賀トラスト行政書士事務所

「遺言書は自分で手軽に書きたいけれど、無くしたり、誰かに見つかって書き換えられたりしないか不安」「やっぱり、費用をかけてでも公正証書遺言にするしかないのかな」。そんな悩みはありませんか。

手軽に作成できる「自筆証書遺言」の弱点を解決する仕組みとして、2020年(令和2年)からスタートしたのが「法務局による自筆証書遺言保管制度」です。この記事では、制度の仕組みと、知っておきたいメリット・注意点を行政書士が解説します。

目次

「自筆証書遺言保管制度」とは?

自筆証書遺言保管制度とは、ご自身で手書きして作成した遺言書を、全国の法務局(遺言書保管所)で安全に預かり、管理してもらえる制度です。

これまでは自宅の金庫や引き出し、貸金庫などに保管するしかありませんでしたが、法的な機関である法務局が直接原本を預かってくれるため、自筆証書の「手軽さ」と、公正証書並みの「安全性」を両立できる制度として活用されています。

手続きの際は、封をしていない状態の遺言書、保管申請書、住民票の写し、本人確認書類などを用意して、管轄の法務局に本人が持参して申請します。手続きが完了すると、保管場所や保管番号が記載された「保管証」が交付されます。

法務局に預ける3つのメリット

自宅で保管する通常の自筆証書遺言と比べ、この制度には強力なメリットがあります。

  • 紛失や「改ざん」のリスクがゼロになる自宅で保管していると、災害による滅失、盗難、発見した親族などによる偽造・変造・破棄の恐れが拭えません。法務局に預ければ、原本は金庫で厳重に保管され(保管期間は遺言者死亡後50年間)、画像データとしても記録(同150年間)されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
  • 家庭裁判所での面倒な「検認」が不要に通常の自筆証書遺言は、亡くなった後に家庭裁判所で「検認」という手続きを経なければ、銀行の解約などに使えず、数ヶ月の期間と戸籍集めの手間がかかります。法務局に保管された遺言書は、この検認手続きが一切不要です。亡くなった後、すぐに「遺言書情報証明書」を法務局で取得し、スムーズに相続手続きに進むことができます。
  • 大切な人に「遺言書があること」を知らせる通知が届くこの制度では、遺言者が死亡した際、あらかじめ指定しておいた人(最大3名まで)に「あなたの遺言書を預かっています」と連絡が行く「指定者通知」の仕組みを希望することができます(令和5年10月2日の改正で1名から3名までに拡大されました)。また、相続人の一人が遺言書の閲覧や証明書の請求を行うと、他のすべての相続人に通知が届く「関係遺言書保管通知」の仕組みもあり、遺言の存在が確実に伝わります。
財産目録のパソコン作成は「保管制度」専用の特典ではありません 自筆証書遺言は原則として全文を手書きしなければなりませんが、法改正(2019年施行・民法968条2項)により、添付する「相続財産目録」についてはパソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることが認められています。これは自筆証書遺言全般に共通するルールで、法務局に預けるかどうかにかかわらず利用できます(目録の全ページに署名・押印が必要です)。

「自分の場合、保管制度と公正証書遺言のどちらが向いているか」も、無料相談でご案内します。

無料相談はこちら
相談無料|出張費0円|明朗会計

預ける前に確認しておきたい3つの注意点

便利な保管制度ですが、万全な終活にするためにはいくつかの注意点も存在します。

  1. 法務局は「遺言の内容(有効性)」までは保証してくれない法務局の窓口では、日付や署名、押印、余白の規格といった「形式上の不備」がないかはチェックしてくれます。しかし、「その遺言の内容が法的に有効か」「相続人で揉めない内容になっているか」といった中身の相談や保証まではしてくれません。せっかく預けた遺言書でも「内容が曖昧で手続きに使えない」「遺留分を侵害していて死後に大揉めになった」というトラブルを防ぐことはできません。
  2. 申請時は「必ず本人」が直接法務局に行く必要があるこの制度を利用するためには代理人に任せることはできず、遺言者本人が直接法務局の窓口に出向く必要があります。すでに入院中であったり、認知症や重い病気等で外出が困難な状態であったりする場合は、この制度を利用するのが難しくなります。その場合は、公証人が自宅や病院まで出張してくれる「公正証書遺言」での作成を検討することになります。
  3. あとから書き直すときは「保管の撤回」が必要一度法務局に預けた遺言書の内容を書き直したい、あるいは取り消したい場合、自宅にある控えのコピーを破り捨てるだけでは撤回したことになりません。法務局に「保管申請の撤回」を行い、遺言書を法務局から返還してもらう、あるいは新しい遺言書を再度預け直すという正式な手続きが必要です。

よくあるご質問

自筆証書遺言保管制度はいつから始まりましたか?
2020年(令和2年)7月10日から始まった制度です。全国の法務局(遺言書保管所)で利用できます。
法務局に預ければ、遺言の内容も専門家がチェックしてくれますか?
いいえ、法務局がチェックするのは形式面のみです。内容の有効性や相続人間でのトラブル防止については保証されないため、事前に専門家へのご相談をおすすめします。
入院中でも保管制度を利用できますか?
申請には遺言者本人が法務局へ出向く必要があり、代理人に任せることはできません。外出が難しい場合は、公証人が出張してくれる公正証書遺言をご検討ください。
保管した遺言書は誰かに勝手に見られたり書き換えられたりしませんか?
原本は法務局で厳重に管理され、画像データとしても記録されるため、紛失や改ざんの心配はありません。
保管制度と公正証書遺言、どちらがおすすめですか?
費用を抑えつつ安全性も確保したい方には保管制度、内容の相談まで含めて確実性を重視したい方には公正証書遺言が向いています。ご状況に応じてご提案しますので、まずはご相談ください。
田村仁志(行政書士)
田村仁志(行政書士登録番号 第26250869号)
行政書士・宅建士・FP・測量士補/滋賀トラスト行政書士事務所 代表

相続・終活分野を中心に、大津市・滋賀県全域でご相談に対応。同一フロアに併設する司法書士事務所と連携し、死後事務委任契約から相続登記まで一貫してサポートします。

プロフィールを見る →

あわせて読みたい

まとめ
  • 自筆証書遺言保管制度は、2020年に始まった法務局が遺言書を預かる制度
  • 紛失・改ざんの防止、検認不要、死亡時の通知など、自宅保管にはないメリットがある
  • 法務局は形式面のみをチェックし、内容の有効性やトラブル防止までは保証しない
  • 申請は本人が直接出向く必要があり、書き直しには正式な撤回手続きが必要
まずは、お気軽にご相談ください
相談無料|出張費0円|明朗会計
受付時間 10:00〜18:00(木曜・日曜定休)/滋賀トラスト行政書士事務所
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次